神獣聖戦のこと [小説]
神獣聖戦 上下巻 山田正紀 読了
未完の作品を再構成された作品といえば、近年に未来獣ヴァイブがあったりすわけですが、本作もそれと同様の手法なわけですね。
この作品は、人が脳内に超光速航行を可能にするホルモンを分泌するようになったことが原因で始まるエム・エムとデモノマニアの戦い、その戦いに巻き込まれ無意味に滅びていく人類の壮大な年代記として、13作の短編と1作の長編、そして最後に舞踏会の夜という作品で締めくくられるはずでした。
でしたというのは、作者が自己完結的な年代記から別の視点を見出してしまったことで方向性が変質してしまい、最後の舞踏会の夜は書かれずに現在に至っていたわけです。
当初はこういった形の結果にかなり不満足な気持ちをもったものです。
ただ実質的な最終話である13番目の短編は、これまでの12の短編は全て、三角関係に疲れ恋敵を殺した女性の紡ぎだした・・・男女関係のもつれで人を殺して精神を病むよりは、人類を超越した存在同士の戦いによって無意味に人類が滅んだ世界の方がマシだという妄想によって語られた物語という視点がなんとも衝撃的で。途中から感じた退廃的な印象がそのイメージをより強く補完していました。まぁもう一段オチがあるんですけど・・・
というわけで、20年以上の時を越えて完結したわけですが、総評としては少々場外ファールの趣があります。
最近の作風なのか、”神狩り2”の時に感じた情報の欠落感が強く感じます。ただ、これは多くの世界にまたがって描かれた物語の一部をすくい上げただけ、というのであれば非常に納得できることではありますが、やはり物足りなさも感じます。
過去に描かれた短編であえて名前がなかった登場人物に、今回は鍵を握る庭師の青年とその恋人になるかもしれない女性の名前が与えられており、このことが、世界に蔓延する同じ妄想を人々が共有するようになる病を暗示しているのかとも思いましたが、これは別の方向にはぐらかされてしまったというか・・・
正直、未読の人にはなにを言ってるのか意味不明な状況ですよね。
というわけで、ほとんどの人を置き去りに感想のまとめに(^^;
個人的に、これは神獣聖戦を書いているつもりが、知らぬ間に"最後の敵”を取り込んでしまったのではないか?と感じました。他にもいくつか他の作品での象徴的要素を感じまして、集大成的作品をめざしたのではと思います。
また、以前にこの短編集を読んだ自分もまた、この作中に出てくる同じ妄想を共有する患者の一人という位置づけもなされるのではないかとメタな視点で語りたくもなりましす。
エム・エム、デモノマニアのD、大いなる疲労の告知者、幻想生命体・・・等等の魅力的なガジェットが満載されているだけに、全てが語りつくされていないことに不満も感じますが、まぁ遺伝子レベルで好きなのですからしかたがないです。
本作の中ではとくに、”怪物の消えた海” ”幻想の誕生”の二編が良いですね。
特に”幻想の誕生”は同じ妄想を共有した結果、自分の思い出を巧妙に書き換えてしまった男の話として読めるのではないかと思えます。
後、不満が残る点として、”硫黄の底”での最後の台詞。絶対重要な伏線になっていると思ったんだけどなぁ・・・これは非常に残念。気にしなければいいのでしょうが・・・うーむ。
とか何とか言ってますが、個人的に大ファールでもなんでも、すごいものを見たというのが感想です。
いやはや楽しい時間でした。読み終えるのが惜しい作品でした。
しかし、エム・エムの姿から、”神狩り2”の天使に繋がると予想していたんですが・・・うーむ。
未完の作品を再構成された作品といえば、近年に未来獣ヴァイブがあったりすわけですが、本作もそれと同様の手法なわけですね。
この作品は、人が脳内に超光速航行を可能にするホルモンを分泌するようになったことが原因で始まるエム・エムとデモノマニアの戦い、その戦いに巻き込まれ無意味に滅びていく人類の壮大な年代記として、13作の短編と1作の長編、そして最後に舞踏会の夜という作品で締めくくられるはずでした。
でしたというのは、作者が自己完結的な年代記から別の視点を見出してしまったことで方向性が変質してしまい、最後の舞踏会の夜は書かれずに現在に至っていたわけです。
当初はこういった形の結果にかなり不満足な気持ちをもったものです。
ただ実質的な最終話である13番目の短編は、これまでの12の短編は全て、三角関係に疲れ恋敵を殺した女性の紡ぎだした・・・男女関係のもつれで人を殺して精神を病むよりは、人類を超越した存在同士の戦いによって無意味に人類が滅んだ世界の方がマシだという妄想によって語られた物語という視点がなんとも衝撃的で。途中から感じた退廃的な印象がそのイメージをより強く補完していました。まぁもう一段オチがあるんですけど・・・
というわけで、20年以上の時を越えて完結したわけですが、総評としては少々場外ファールの趣があります。
最近の作風なのか、”神狩り2”の時に感じた情報の欠落感が強く感じます。ただ、これは多くの世界にまたがって描かれた物語の一部をすくい上げただけ、というのであれば非常に納得できることではありますが、やはり物足りなさも感じます。
過去に描かれた短編であえて名前がなかった登場人物に、今回は鍵を握る庭師の青年とその恋人になるかもしれない女性の名前が与えられており、このことが、世界に蔓延する同じ妄想を人々が共有するようになる病を暗示しているのかとも思いましたが、これは別の方向にはぐらかされてしまったというか・・・
正直、未読の人にはなにを言ってるのか意味不明な状況ですよね。
というわけで、ほとんどの人を置き去りに感想のまとめに(^^;
個人的に、これは神獣聖戦を書いているつもりが、知らぬ間に"最後の敵”を取り込んでしまったのではないか?と感じました。他にもいくつか他の作品での象徴的要素を感じまして、集大成的作品をめざしたのではと思います。
また、以前にこの短編集を読んだ自分もまた、この作中に出てくる同じ妄想を共有する患者の一人という位置づけもなされるのではないかとメタな視点で語りたくもなりましす。
エム・エム、デモノマニアのD、大いなる疲労の告知者、幻想生命体・・・等等の魅力的なガジェットが満載されているだけに、全てが語りつくされていないことに不満も感じますが、まぁ遺伝子レベルで好きなのですからしかたがないです。
本作の中ではとくに、”怪物の消えた海” ”幻想の誕生”の二編が良いですね。
特に”幻想の誕生”は同じ妄想を共有した結果、自分の思い出を巧妙に書き換えてしまった男の話として読めるのではないかと思えます。
後、不満が残る点として、”硫黄の底”での最後の台詞。絶対重要な伏線になっていると思ったんだけどなぁ・・・これは非常に残念。気にしなければいいのでしょうが・・・うーむ。
とか何とか言ってますが、個人的に大ファールでもなんでも、すごいものを見たというのが感想です。
いやはや楽しい時間でした。読み終えるのが惜しい作品でした。
しかし、エム・エムの姿から、”神狩り2”の天使に繋がると予想していたんですが・・・うーむ。
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