星新一 一〇〇一話をつくった男のこと [小説]
星新一 一〇〇一話をつくった男 最相葉月 読了
星新一先生の評伝です。
私の星作品の最初の記憶は、小学生のとき、TVで見たきまぐれロボットが最初だったかと思います。
そして近所の本屋に行くと、さっきTVでやっていた番組と同じタイトルの本がありまして、内容をちょっと読むとさっき見た番組と同じで。で、ポケットの中をさぐるとその本を買えるだけの金額がなんとかあったわけで、少々迷いましたが購入。その日のうちに読み終えました。そのまま一気にファンになりまして、お小遣いをちょっとづつためてせっせと購入したものです。
その後、中学の教科書に”友好使節”が載ってまして、妙に浮かれてしまったのも良い思い出です(^^;
そのころには新潮文庫と角川文庫版はほとんど読み終わってましたね。
で、自分でもショートショートを書いてみようと思い、いろいろやっていた時期でもありました。
理想としたのは星作品の時代性の排除と、開高健の”裸の王様”的な要素を盛り込もうと・・・認めたくないものですね・・・若さゆえの過ちというものは(^^;
さておき、内容は非常に興味深かった反面、読むべきではなかったと思うのも事実だったりします。
勝手に賞など超越した存在になっていると思い込んでましたが、筒井先生なみに賞に対して忸怩たる思いがあったようで驚きです。まぁ冷静に考えると星雲賞も受賞されてないんですよね。
個人的に"月の光”だったら直木賞とれていたんじゃないかなと思うんですけどね。
後、自分が一番熱心に読んでいた年齢は、星先生がターゲットとしていた年代は無かったというのは少々ショックでして・・・そして、晩年の老いにも・・・
そういやこの本で描かれる星先生のイメージは、平井和正の”星新一の内的宇宙”がある意味本質を突いていたんではないかとおもってみたりするんですけどね。
晩年は時代にそぐわない部分を手直しされていたようで、これは本質を十分に理解された上でのことですよね。このエピソードを知って真っ先に思い浮かべるのは、菊池寛の”父帰る”に関する評価だったりするわけで、星作品はこれと対極に位置していくのだろう思ってみたりと。
とりあえず、本作を読んで楽しめたので、折を見て”明治・父・アメリカ””人民は弱し 官吏は強し”を再読してみるのも一興かと。
コメント 0