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2010-08-03 [映画]

ザ・ロード
昨日は仕事帰りにザ・ロードを見てきました。
先日調べたときは午前中しか上映してなかったんですが、丁度良い時間帯だったので(^^;
有楽町で下車するのは久しぶり。
時間的にかなり余裕があるはずだったんですが、微妙にごたついて会社を出るのが遅くなって、
事前に軽い夕食をとるはずが、ガード下の美味しそうな匂い食欲をそそられるだけという展開にorz

原因不明の災厄で文明の崩壊した米大陸が舞台。
空は厚い雲に覆われ、植物も立ち枯れた週末の世界。
主人公は一組の親子。彼らは飢えと寒さに追いやられるように南の海辺を目指して旅をします。
いやぁ、予想はしてましたが重い。曇った空の下で続く絶望の中の旅が、悲惨すぎて希望が持てません。
ちょっと希望があるかと思えば、またも絶望が押し寄せてくる。
正直、2回見たいとは思えない作品です。
世界が崩壊して10年弱の時間が過ぎているようで、その間にほとんど全ての動植物は滅んでしまったようで、食料の確保もままなりません。
武器を持った人間は同じ人間を狩ってそれを食らうことが当たり前の世界です。
主人公の親子は自決用の弾丸を2発つめたピストルをもつだけで、全くの無力。
それどころか、幼い息子という弱点をさらけ出したまま旅をすることになります。
この辺の緊迫感は異常というか、捕食者に捕まったらどんな惨い目にあうのか、
想像するだけで身の毛がよだつというか、危機に陥るたびに父親が息子の額に
銃口を押し当てるシーンは見ていて辛い。
ただ、ちょっとこの辺、冷めた感覚もどこかであって、微妙にブッダの兎の話とか、
銀河鉄道の夜でのサソリの話とかを思い出していたりするわけで。
後、従来のハリウッド映画なら、この親子は世界の再生に繋がる重要なアイテムを
もってるんでしょうが、そうではありません。
同時期に作られたザ・ウォーカーはもろそういうのがテーマですが(^^;
ただ、親子はアイテムは持っていませんが、逆にそれ以上に大事なもの、
善き者であるという思いを持って旅をしています。
息子は世界の崩壊の後に生を受けたので、父親は自分の中にある理想を
息子に伝えながら旅をしているわけです。
この辺、キリスト教文化圏でないと、うまく飲み込めない印象もありますね。
とにかく強烈な圧迫感と、モノトーンの映像が圧倒的です。
ある意味、モノクロで製作してしまうというもの有だったかなと思います。
ちょっと残念かなと思うのは、すでに終ってしまった物語なのだからでしょうが、
世界の崩壊シーンとかはありません。そのためスペクタクルシーンがないのですが・・・
でも、画面から押し寄せてくる圧迫感は・・・本当に胃がおかしくなりそうです。
つかね、地下室の牧場はまじでトラウマになりそうです・・・吐気がしますよ。

そういや、作中にただ一人名前を持った人間がでてくるんですが、
それと同じ名前の人がザ・ウォーカーにも登場するんですね。
しかも、同じ身体的特徴をもって。これってなにか意味があるのかな?

さておき、物語は親子が地下の食料庫を発見して持てる者になったことで、
大きく意味合いが異なったようです。
それまでは受難者の印象が強かった父親が、一気に堕落したようで、
彼の存在が変化してしまたようです。
ただ、彼の内面はいろいろと疑問。
彼は南の海辺なら人が生きていけると思って旅をしていますが、
果たしてその約束の地があったとして、そこが無人の地だとおもっているのでしょうか?
もしくは人がいても自分達を受け入れてくれると思っているのでしょうか?
作中で描かれる旅の中で、父親は他者との接触を避けてます。
それが人食いではない人であっても。
特に息子が同じような年頃の少年を見かけたときも、もしかしたら彼らと同じように
善き者であろうとして生きているかもしれないのに、疑心暗鬼に囚われて接触しませんでした。
また、持てる者になった後は、無力な老人を見捨て、自らの財産を奪った者には容赦のない報復を行いました。
彼は人を信じることができずに、それゆえに群れることができなかったんですね。
そんな姿を息子に見せてしまって、善き者を見つけることができたのでしょうかな?
つか、南の海辺にたどり着いて、そこに何もなかったらどうするつもりだったんでしょう?
正直、希望はほとんどないけど、海辺の町で出会ったカナブンが再生の意味合いを持っているのかなぁ・・・できればそうであって欲しいのですが。
ラストの出会いはもうちょっと時間をかけてやってほしかったというか、もうちょっと息子の成長をじっくり描いてほしかったように思います。
そういや映像と終末観はタルコフスキーに通じるものがありますね。水を使い方とか。

さておき、なかなかに重い作品で良作でありました。
あらかじめ並みの映画ではないと思ってましたから、陽光がさんさんとふりそそぐ約束の地に
たどりつくはずなどなく・・・アイアムレジェンドとか世界の燃えつきる日とかみたいに(^^;
ただ、設定的には少々突っ込みどころが(^^;
まず、世界崩壊から10年ほど時間がたってますが、この間にほとんどの動植物が滅んだようです。
文明の崩壊に伴って食料の生産もできないようです。
そんな世界でどの程度の人間が生き残っているんでしょうかな?
世界崩壊の原因になった災厄とは、おそらく地球規模で発生した地殻変動による大規模な噴火による寒冷化かなと思ってるんですが・・・
後、大きな地震が人口密集地を直撃して・・・さらにそれが繰り返し起きた結果、再建の意志を砕いてしまったかと・・・
まぁ崩壊の原因はおいておいて、そんな状況で親子が何を食べて生きてきたか?って描写が少ないんですよね。
なんか草の種らしきものを一粒づつ食べていたようですが・・・そんなんで身体が持つはずないし。
天然の食料を採取しているシーンもないですしね。
つか、この辺父親にサバイバル知識あって、なんとか食べれる食材の知識があって、それが他者とのアドバンテージになっているとか・・・というのはテーマがそれるんでしょうなぁ。日本人なら根っこを掘り出して食べれるように工夫しそうな気もしますが(^^;
かなり寒いようですが、雨に濡れながらも歩き続けてるし、無謀ですよね。
後、10年前の缶ジュースを毒見もせずに息子に飲ませているし・・・
つか、そこまで動植物が死滅しているんなら酸素事態がやばいでしょうに。なにげに大火災もおきているし。
後、父、ライター使いすぎ・・・一番大事にしないと駄目じゃないのかと思ってしまうのは私だけ?(^^;
それと寒いはずなのに滝で水浴びしたりと、ちょっと変な描写も感じたたりして。
一番気になったのは、地下室の牧場・・・あれはえさはどうしているんでしょ?あー考えたらやな感じに。

なにげに、森へとか、洞沢由美子のDとか・・最終兵器彼女とか燻製肉の中の鉄とかの世界の終わりの絶望感が浮かび上がってきますね。
特に森への合衆国が消滅するということと、隣人への不信感とか・・・非常に興味深いですね


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