SSブログ

ぼくのエリ 200歳の少女 [映画]

ぼくのエリ 200歳の少女
昨日は映画の日だったのでまたも映画です。
そしてまたも有楽町。
ここんとこずっとご無沙汰でしたが、どうしたことでしょう。
実はこの作品、ずいぶん前から気になっていたんですが、中々公開されずに、
いつの間にかハリウッドでリメイクされるとかで、あーこれは、ハリウッド版公開にあわせて
DVDが発売されるのだろうなぁと思っていたら・・・
寄生先の偉い人とリメイク版の話をしながら、オリジナルが見たいんだけどね~と愚痴っていたら、
偉い人から日本語版のHPがあるじゃんと指摘されまして・・・
・・・びっくりですよ・・・つか、なんですか・・・このセンスのかけらも無い邦題は。
てっきり100歳の少年と12通の手紙かと思ったくらいですよ(^^;
英題はLET THE RIGHT ONE IN なんですよ! それをどういじったらこんなタイトルに・・・
おかげで全然気が付きもせず、危うくスルーするとこでした。
本当に寄生先の偉い人には感謝の限りですよ。
話はそれますが、寄生先の偉い人は、夏コミの原稿も入稿して、新刊もばっちりありますから
2日目も安心ですね。
8/14 東ナ03b 和楽枇亭 ですよ。

閑話休題
この先、ネタバレをかなり含みます。これから見に行く方は十分にご注意を。

舞台は80年代のスウエーデン。主人公はいじめられっ子の少年オスカー。
さらさらの金髪のひ弱な少年なんですな。
そこに一組の親子が引っ越してくるところから物語は始まります。
親子というにはちょっと年が離れすぎでは?とも見える父親とおぼしき男性と、
黒髪と大きな目が印象的な少女エリ。
そして、引越してきてそうそう男性は人を殺して、生血を集めようとします。
実は少女エリは吸血鬼だったんですね。
原題のLET THE RIGHT ONE INは、吸血鬼が家に入るとき、中の人の許可がなければ入れないということからきてるんですね。
予備知識無しで見てますから、この辺からいろいろミスリードの連続をしてしまいまして・・・
例えばタイトルを 正しく受入れて と解釈していたから、ラストを読み違ったり。
また、父親とおぼしき男性をエリの弟と思って、オスカーの未来を暗示しているのかなとか(^^;
いや、この男性がすごいどじっこでして、勝手にいろいろと想像を膨らませているから疑問符が
見ている最中に出まくりなんですよ。
長年、エリと連れ添ってきたのなら、そういった作業は手馴れたものだろうって。
最初のは予定外の非常に珍しいミスだったのかなって思っていたんですが(^^;
原作を読んだ人によると、この男は少児愛好者で、エリと出合ってそんなに月日がたってないそうで(^^;
見てる最中は、疑問符だけでそんなことに気づきませんからね。
いじめられてるオスカーにエリが「やり返せ」と促したり、男性がエリに「今夜はあの少年に会わないでくれ」と話すあたり、エリが次の庇護者としてオスカーを選ぼうとし、同時に男性を捨てようとしているように見えて・・・・なんか嫌だったんですけどね・・・・
また、エリは人の血を飲まないと生きていけないだけの、普通のか弱い少女で、原題も「私を匿って」という意味があるのかなぁと。人のとの世界になんとか踏みとどまろうとしたけど、やがて闇の世界に浸って行くとか・・・・
と、思っていたら、本格的な吸血鬼でまたびっくりですよ。
相手の同意がなければ家の中に入れない。爪が汚れている。後、独特のにおいをもつ。
血を吸った相手も吸血鬼になると。そしてそれを完全に受入れてしまっている・・・
原題には、私を正しく理解して、という意味もあるのかも。
そうなるとハリウッド版のLET ME INがちょっと安っぽく感じちゃうかもですよ。

映像は冬のスウエーデンを見事に映し出していて、本当に空気の透明感が見事です。
スウエーデンの映画と言えば、マイライフアズアドッグがすごく好きなのですが、それを良く似た
映像美で、あちらの方はこういった映像を好まれるのでしょうかな?
また、劇中に垣間見られる高福祉、そしてそれがもたらす停滞感と、後に問題になる家族崩壊が
見受けられて本当に興味深いです。
個人的に北欧を言えば津山紘一さんの小説を、特に、”風邪をひいたら”を何気に思い出してしまうわけですが・・・

ラストはいろいろと深読みしていたら、最初に思っていた通りになってちょっと驚き。
個人的には、エリと普通に別れたオスカーが、30年経った現代でエリとすれ違うというものを予想していたんですけど。
ある意味、不老の少女の物語は日本にはいくらでもあるわけで・・・バリエーションは数限りなく描かれてしまっているので、なかなか予想を裏切るのは難しいですよね・・・
でも、映像と世界観が非常にマッチしており、中々に魅力的な作品となっております。

と、まぁ、ここまでは普通に国内で上映されたものだけを見た場合の感想です。
鑑賞中、一箇所、あれ?って思ったシーンがあったのですが、昨今の事情から規制もやむなしかなと、
思っていたんですが・・・それよりも、そんなシーン必要なの?オスカーの性の目覚めを象徴してるの?
というくらいで、見ていたんですが・・・帰宅後、他の方の感想をみると・・・・・・・・・・・
えーーーーーーっ!って感じ。
これって、タイトルもうちょっと考えないと、完全に意味が違うでしょ。
まぁこれは原作本を読んだり、無修正版を見た人達の意見ですから、
まず自分が見てみないとアレですが、多分、私は普通にそのシーンを無修正で見たら、
エリは烙印を押されたものと見るんじゃないかな?と思ってみたりと。
ただ、逆にエリのような吸血鬼なら、その烙印がそのまま破滅に通じるような気もしますが。
というわけで、その規制に関しての情報を見てしまったら、鑑賞後のちょっと切ない気持ちが一気に
変質しちゃったですよ・・・
ラスト、淡い初恋のまま、エリと旅立っていたオスカー。彼もいずれ、エリのために人を殺すようになるのでしょうか・・・それともなんとかしているのか?自らのエリに血をささげて永遠を生きるのか・・・
って思っていたんですが。

はい、ここから重要なネタバレです。

 

 

 

規制シーンとは、エリが着替えをする場面をオスカーが見てしまうのですが、その際エリの股間に修正が入ってるわけですが・・・
まっ普通、このご時世仕方が無いよねって思うわけですね。
実はこのとき、エリの下腹部には傷が見えるそうなんですね。
先にも書きましたが、私が無修正版を見たなら、エリはかつて異端審問、もしくはそれに類する形で
拷問を受け、後に吸血鬼になったのではと。18世紀にもハンガリーで魔女狩りがあったわけで、
それなら200歳の少女というのも納得がいくなぁと思うはず・・・
でも、その傷は、原作ではあいまいにぼかしてあるそうですが・・・去勢された傷跡らしいのです。
つまり、エリは女の子じゃなく、男の娘だったのですと・・・むーーーいろんな意味で日本を越える最先端(^^;
すいません、ひねりのないオチといってすみませんでした(^^;
これって凄いどんでん返しですよ・・・で、さらにオスカーはその傷を見てエリの正体に察しがついたらしいのです・・・
さらに、作中ではオスカーの不幸さを示すためでしょうか、両親が離婚した理由が垣間見えるのですが、どうやら彼の父親はホモのようで・・・・
そうなると、オスカーがいじめられている理由も、彼の外見や物腰から、いじめている連中はホモセクシャルの匂いを嗅ぎつけて、どうしていいのかわからない攻撃衝動をぶつけていたのではないかと・・・
だから、オスカーはエリの正体を知ってもドンとこいです・・とか思ったとしたら・・・
こうなってくると、オスカーのエリへ血の契りとか、ラストシーンのトランクのシーンも素直な心で見れなくなってしまうじゃないですか・・・orz
なんか恐ろしくなるほど、深い作品ですよ。果たしてハリウッド版はこのような部分をどう料理するんでしょうか?
というか、海外版のBD買って見るべきなんでしょうか? 
あーーもう、自分が穢れてしまったーと思ってしますというか・・・まぁもともと穢れまくってますが(^^;


nice!(16)  コメント(4)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 16

コメント 4

漁火

はじめまして。

この映画は細かい説明が省かれているので、いろんな解釈が出来ていいですよね。
もっとも、重要な場面以外にも、原作を読んでないと何気なく見過ごしてしまう描写が多すぎて、いくらなんでも説明不足過ぎ・・・という印象も否めないのですが。
ラストの解釈については、監督と原作者でもある脚本家との考え方に微妙なズレがあるみたいです。原作者のほうが、よりハッピーエンドな未来を想定しているようです。また、監督も幾つかの異なった未来像を考えているようですが、日本での解釈はある一つの未来像に偏る傾向があるようで、ちょっと残念。

オスカーは傷を見る前に、エリからのテレパシー(?)で全てを知ってしまったみたいですね。映画でも「ちょっと私になってみて」と言ったエリの顔の上半分がアップになり、一瞬老人のように見える場面があります。あれは、自分の過去をオスカーに伝えているのだと思います。

修正問題・・・フリーライターの廣田恵介さんが配給会社に赴き、股間の修正について直接事情を訊かれています。詳細は廣田さんのブログで読むことができます。
どうも日本版BD・DVDでも、あの箇所が無修正というのは難しいようで(あんな雑な修正ではなく、デジタル処理になるのでしょうが)。
既に劇場で鑑賞されたのなら、海外版BD購入も検討の価値ありだと思います。

>どうやら彼の父親はホモのようで・・・・
参考までに、監督のインタビューでの発言を以下に引用しておきます。
... But it was a surprise to me that people thought he was a homosexual. His father is an alcoholic and uses the alcohol before his son every time it's attempted...
by 漁火 (2010-08-06 09:59) 

mana

うわ~!これすごい面白そうですねぇ!
こっちのミニシアターにも回ってくてくれれば見たいなぁ。
DVDでもいいけど。
こういうのはハリウッドリメイクより断然オリジナルでしょうね。
タイトルがモリッシーの曲からってことで、モリッシーは聞いてないんだけど学生時代スミスは大好きだったのでなんか世界感とか興味ありますね。
いい情報ありがとうございました!
by mana (2010-08-06 13:07) 

おどんとグリフス

漁火さま>はじめまして。作品を理解するうえで大変参考になりました。
>この映画は細かい説明が省かれているので、いろんな解釈が出来ていいですよね。
ほんと、われながら勝手な思い込みが多くて赤面のいたりです。
映画の方はエリとオスカーのほのかな思いを重視して作品を練り上げたようにみえるんですが、なんかこの辺も自身がなくなってきました。
できるだけ、早く原作を読んでみたいところです。

>修正問題
記事拝読しました。
しかし、それならばこそ、200歳の少女って副題は避けるべきじゃないかなと思うんですが・・・
小説と同じくモールスにしてもよかったのではと、思いましたが、今度はモーリスを連想させちゃうと考えたんでしょうかな?(^^;

>既に劇場で鑑賞されたのなら、海外版BD購入も検討の価値ありだと思います。
とりあえず、今月の中旬まで格安で購入できるようなので、検討したいところです。

>参考までに、監督のインタビューでの発言を以下に引用しておきます
これはちょっとショックです(^^;
いわれてみれば、エリの最初の犠牲になった人も飲み友達でしたね。
この辺は、スウェーデンのお国柄によるものなのでしょうか?



by おどんとグリフス (2010-08-09 23:59) 

おどんとグリフス

mana さま>nice&コメントありがとうございます。
>うわ~!これすごい面白そうですねぇ!
見る人を選ぶかと思いますが、琴線に響く人にはたまらない一品になると思いますよ。
北欧の風景がまたいいんですよ。
それに・・・北欧の娘さんは非常に魅力的ですから(^^;

>こっちのミニシアターにも回ってくてくれれば見たいなぁ。
ハリウッド版が話題になれば、可能性もでてきますね。
一時期、劇場の減少に絶望しかけましたが、最近のシネコンやミニシアターが盛り返してくれたのはうれしい限りです。


by おどんとグリフス (2010-08-10 00:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

2010-08-042010-08-07 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。